皆さまも「歯垢」という言葉を聞いたことがあると思います。私はこの言葉は好きではなくて、「バイオフィルム」と言うようにしています。
なぜなら、「歯垢」では耳垢などと似た、単なる「老廃物のかたまり」のイメージになってしまうからです。実際には「生きた細菌のかたまり」で、だからこそ歯に深刻なダメージを与える原因になるわけです。
こうした歯に関する正しい知識を得ることを、「デンタルIQが上がる」という言い方をします。
たとえば、エナメル質は歯にとっては「鎧」になるもの。ここで処置を済ませてておけば、非常に短期間、かつ低コストで治療できます。
また、成人の多くは歯周病にかかっているものですが、もしそれが「慢性的かつ持続性のある感染症」だと理解していれば、日常での対処もかなり変わってくるのではないでしょうか。
大切なことは、できるだけ重症化する前に治療することです。
困ったことをすべて歯科医に丸投げするのも悪いことではありません。しかし患者さまにもお口の中について知識があれば、「ここまで放っておくことはなかったのに」とか、「普段からこういうことを意識しておけばまったく違ったのに」といったことがあるものです。そして治療もスムーズになります。