虫歯・歯周病

正しい知識で一緒に健康な口腔内環境を実現しましょう

正しい知識で一緒に健康な口腔内環境を実現しましょう

皆さまも「歯垢」という言葉を聞いたことがあると思います。私はこの言葉は好きではなくて、「バイオフィルム」と言うようにしています。
なぜなら、「歯垢」では耳垢などと似た、単なる「老廃物のかたまり」のイメージになってしまうからです。実際には「生きた細菌のかたまり」で、だからこそ歯に深刻なダメージを与える原因になるわけです。

こうした歯に関する正しい知識を得ることを、「デンタルIQが上がる」という言い方をします。
たとえば、エナメル質は歯にとっては「鎧」になるもの。ここで処置を済ませてておけば、非常に短期間、かつ低コストで治療できます。
また、成人の多くは歯周病にかかっているものですが、もしそれが「慢性的かつ持続性のある感染症」だと理解していれば、日常での対処もかなり変わってくるのではないでしょうか。

大切なことは、できるだけ重症化する前に治療することです。
困ったことをすべて歯科医に丸投げするのも悪いことではありません。しかし患者さまにもお口の中について知識があれば、「ここまで放っておくことはなかったのに」とか、「普段からこういうことを意識しておけばまったく違ったのに」といったことがあるものです。そして治療もスムーズになります。

治療の流れ

  • 1カウンセリング

    患者さまの「治療前の状態」をデータ化する上で、必要に応じてレントゲン撮影を行い、歯を支えている骨の状態などをチェックします。また、歯周ポケットについても専用の器具で深さなどをお調べし、歯茎の奥に歯石ができていないかをチェックします。
    このとき、位相差顕微鏡を使って歯の表面についているデンタルプラークを患者さまにも見てもらいながら、現状について詳しくご説明します。

  • 2歯石の除去

    歯石は歯と歯茎の間に堅くこびりつくもので、どんなに強くブラッシングをしたところで取れるものではありません。これを除去するには歯科医院で専用の器具を使って削るしかなく、歯を傷付けないよう丁寧に取り除くため、症状によってはご来院いただく回数が増えることもあります。
    また、歯石を取ることで歯肉が退縮したように見えることがあるかもしれません。これは歯肉が引き締まり、本来の健康な状態に戻ったためです。

  • 3歯周外科(必要な場合)

    歯周病が進行した組織は、歯周ポケットが深くなって歯を支えている骨も溶かされ、ガタガタになっていきます。そんな歯周組織をできるだけ元の環境に戻すのが歯周外科治療です。
    必要に応じて、破壊された歯肉や骨を切除する「切除療法」、または歯根膜などを再生させる「再生療法」を行います。

  • 4プロによるクリーニングPMTC(バイオフィルム破壊)

    目に見えない部分にあるプラークや歯石も徹底的に取り除きます。特に深い部分にある歯石は、麻酔を使って取る場合もあります。こういう場合、歯茎が腫れている場合がしばしばで、歯石を取ることで癒着していた歯茎から出血することもありますが、異常ではありません。
    また、プラークが再付着しにくいよう、歯の表面をツルツルに仕上げます。

  • 5定期検診へ

    歯周病は「持続性のある感染症」です。一見治っているように見えても、定期的に状態を把握して、再発しても初期の内に対処してしまえば歯を長く健康に保つことにつながります。
    また、ご家庭でのブラッシング状況についても、お口の状態を見ながら正しいブラッシングについてアドバイスします。

各種検査

歯周ポケットの検査だけでなく、患者さまがそれぞれ固有に抱えているリスクや特徴を把握するため、「唾液検査」や「歯周病菌DNA検査(リアルタイムPCR)」を実施しています。
これらは患者さまの状態を遺伝子レベルで判定するもので、痛みはほとんどありません。将来の虫歯・歯周病のリスクを知ることができ、より具体的な予防プログラムの作成やその検証に役立ちます。
これらの情報についても、当院はほかより先駆けてデータベース化することに取り組んでまいりました。